急に思い立って、オードリー・ヘップバーンの『おしゃれ泥棒』を見ました。
大好きな映画なんですよね。お気楽に見られて、タイトル通りにヘップバーンがすごく素敵。もちろん、相手役のピーター・オトゥールが超絶にカッコイイ!!!
ヘップバーンは大好きで、定期的に見たくなるのですが、これもその1本。展示中のビーナス像を相棒と共に盗みだそうというロマンティック・コメディです。
美術品の泥棒の話は人気があるし、私も好きな映画がたくさんあるのですが、でも、リアルなニュースも後を絶たなくて、そちらは憂鬱な気分にさせられますよね。ドラマの中のルパンやピンクパンサーの怪盗ファントムのように、気障で格好良くて、自意識過剰・・・なんていうのはありません。
現実の泥棒は、最低なビジネスですから。ロマンの欠片もない下衆なやつに違いないと思うのです。
と偉そうに書いてみましたが、現実は小説より奇なりというか、確かに実際の犯罪は優れたミステリーでもあります。
残念ながら、美術盗難事件は、現在までの美術史を語る上で、外せない事象であることも確かでしょう。
爆窃団とかいう、外壁を壊して侵入するなんていうのもいますが、有名な盗難事件には綿密な計画もあれば、偶然が重なった稚拙な計画もあり、そして、犯人を追う調査の行方は興味深いものです。終わりよければ、ということで、絵画が戻った暁には、話題性で入場者アップ!なんて美術館も。
そこで、今回はメルトン・エステロウの『名画泥棒』を本棚から取り出してみました。
・・・古い本ですので、久々なので、ちょっと埃かぶっていましたが。
本書には、美術品の盗難に関する事件の詳細が書かれていますが、中でも有名な事件はルーブルの「モナリザ盗難事件」。
なかなかの、というか、かなりのミステリーです。不謹慎と思いつつも、面白くて、頁をめくる手が止まりません。ホント、無事にモナリザが帰ってきてよかった~と、ルーブルでご対面した時には、思い“ひとしお”でしたよ。
犯人はイタリア人。盗まれたモナリザはイタリアで発見されました。
ダビンチはフランスで人生の終焉を迎えるにあたり、最後までモナリザを持ち続けていた結果、モナリザはルーブルにいたわけです。しかしその後、ナポレオンが多くの略奪をしたため、イタリア人の中にフランスに対する感情が残っていたらしい。
そして、この犯人は、モナリザを故郷に連れ帰ったなどと発言したのです。
フランスにとっての泥棒は、イタリア人にとってはヒーローにもなりかねない事態。
20世紀初頭の話ですから、今とは違うと思いますが。
とにかく、イタリア各地でモナリザは展示されてから、フランスへと戻りました
・・・イタリア人に惜しまれつつ。
ルーブルに行ったことがある人なら誰でも実感していると思いますが、現在は強化ガラスに守られ、警備員を厳重に配置し、容易に近づくこともできません。実際の大事件は、非常な保安態勢を敷く結果をもたらした訳ですね。
ちなみに、モナリザだけでなく、他にも、名だたる名画たちの盗難事件が記されていますよ。
まあ、こんな事件は二度と起きて欲しくありませんが、昔の事件なら、楽しい読書も許されますよね。
(2010年8月初出、転載・加筆修正)
→ミルトン・エステロウ『名画泥棒』
→ヘップバーンの『おしゃれ泥棒』
関連動画?ってわけでもないけど、好きな映画なので